懐かしの番組を見てみよう!

         


『あ行』

アイアンキング
昭和47年10月8日〜昭和48年4月8日 TBS
 石橋正次演じる静弦太郎と、浜田光夫演じる霧島五郎。この二人組みの国家警備員が、日本政府の転覆を企む不知火族独立幻野党が繰り出す巨大ロボットや、宇虫人タイタニアンが変身する巨大生物に立ち向かって行く。
 変わった設定なのは巨大ヒーローアイアンキングに変身するのが、二枚目の静弦太郎では無く、三枚目の霧島五郎だということ。そのくせ敵に止めをさすのはヒーローのアイアンキングでは無く、人間の静弦太郎。何でこうなるのかというと、アイアンキングの変身していられる時間がウルトラマンの3分間より短い1分間だからである。確かに1分間では、さすがに敵を倒すのは難しい。アイアンキングが敵を引きつけている間に弦太郎が敵の操縦席に乗り込んで倒すなどのパターンがほとんど。全編を通じてアイアンキングが敵を倒したのは2,3話あるぐらい。
 さらにアイアンキングは大量の水を必要とするらしく、人間に戻ってから霧島五郎は水をがぶ飲みしなければならないていたらく。子どもの頃のお気に入りの作品だったが、大人になってから見ると「行くぞ五郎」「おう、弦の字」といった二人の軽妙なやり取りが最高にかっこ良い。
作品のツボ→敵のデザインは第1部にあたる不知火族の巨大ロボットが秀逸。特にブラックナイトブロンズデーモンのコンビは最高。
悪魔のようなあいつNEW
昭和50年6月6日〜昭和50年9月26日 TBS
 昭和43年12月10日、東京都府中市で偽装白バイに乗ったニセ警察官により、銀行の現金輸送車ごと三億円が奪われる事件が発生する。誰も傷つけることなく三億円を奪った鮮やかな手口と、印象に残るモンタージュ写真から、この事件は一躍世間を騒がせるものとなった。警察は犯人を捕まえるべく巨大な操作網を引いたが、三億円とともに犯人は忽然と姿を消してしまった。その時効は昭和50年12月10日となるが、時効成立半年前に作られたのが、このドラマである。三億円事件の犯人である可門良を演じたのはGSで人気を博した沢田研二。三億円という大金を手にしながら、一部のお札の番号を警察が控えているため、うかつに使用することができない。時効さえ成立してしまえば彼の勝ちだが、鬼刑事である白戸警部が執拗に良を追い詰める。白戸警部を演じるのは大御所の若山富三郎だが、良を逮捕するためには法律ギリギリのところまでやりかねない(というか完全に一線を踏み越えてしまっている)、すさまじさである。
 そんな良には時効とともに、もう一つのタイムリミットが迫っていた。グリオプラズトマという不治の脳の病に犯され、最後はくるって死ぬしかないという過酷な運命が待ち受けていたのだ。そのため良には常に退廃的なムードが付きまとうが、それが多くの女性を引き付ける。同じ孤児院で育ち兄妹のように育ちながらも良に愛情を抱くいずみ(三木聖子)、足の不自由ないずみの看護を続ける看護婦の山川静枝(篠ヒロコ)、人妻の八村ふみよ(安田道代)、娼婦の日夏恵い子(那智わたる)、知的障害を持ち子どものように良を慕うノノちゃん(関根世津子)、暴走族のマキ(長谷直美)。いや女性だけでなく三億円事件を担当する刑事であった野々村修二(藤竜也)ですら、良の魅力に溺れ刑事の道を踏み外してしまった。
 実際の事件の時効が近づくのに合わせて物語りも進行する実験的なドラマ(番組の最後には時効成立まで、あと○○日と出る)のプロデューサーは、時間ですよ寺内貫太郎一家でもお馴染みの久世光彦。作詞家でも有名な阿久悠の原作を、太陽を盗んだ男の監督で知られる長谷川和彦が脚本で味付けし、久世流ともいうべき独特の演出で異色のドラマが完成した。
 また、沢田研二だけでなく昭和を彩る歌手たちが俳優として出演しているのも、このドラマの特色で、最初に三億円強奪を計画した八村モータースの八村八郎(こいつが絵に描いたようなダメ男)を荒木一郎、良をいじめ続ける歌手の矢頭たけしを尾崎紀世彦、バー日蝕の従業員をデイヴ平尾、娼婦の恵い子を買う客をディック・ミネ、そして今では日本を代表する俳優ともなった岸部一徳がチンピラの役として出演している。ドラマは時効を待たずして打ち切られるように終わってしまったが、良の壮絶な最期は一度見たら忘れられないほど、すさまじいものとなっている。
作品のツボ→番組の挿入歌となっている沢田研二が歌う「時の過ぎゆくままに」は、悪魔のようなあいつの原作を書いた阿久悠が作詞した名曲でドラマの内容とも見事にマッチしている。また、ドラマも終盤に近づいた頃に歌われるようになったデイヴ平尾の「ママリンゴの歌」も、それに負けず劣らぬ名曲である。
アパッチ野球軍
昭和46年10月6日〜昭和47年3月29日 NET
 俺たちゃ裸がユニホームと、歌われているように、彼らは島育ちの不良集団で作られた野球チーム。手の付けられない不良集団を野球で、一つにまとめていこうとする、元高校野球界のエース堂島。不良が野球でまとまるといえば、少年ジャンプで連載中のROOKIESなどの作品も存在するが、こちらは、その不良ぶりが半端でない。ナイフは投げるわ、島の女先生を犯そうとするわで、不良を通り越して犯罪者の域にまで達している。
 しかし、この不良連中が、その特技を生かして立派な?野球チームに成長していくのだから大したものである。くだんのナイフを投げた網走はピッチャーに、猿に育てられて身軽なモンキーは、バックグラウンドを超えそうなホームランまで捕球してしまう名守備を見せるようになる。このモンキー、いくら猿に育てられたからと言って、そんなに猿に似るものなのか…。
 こんな破天荒なストーリーは、細腕三畳紀もとい、細うで繁盛記でお馴染みの脚本化の花登筺の影響だろう。先に出たムチャクチャなオープニングも花登先生自らが作詞なさっているのですから。さて、そんなアパッチ野球軍も、ついに甲子園への切符を手に入れるのだが、私塾であるため、高野連からストップがかかり、その夢は断念される。彼らの甲子園編も見てみたかった気がするのは私だけだろうか…。
作品のツボ→何故か、そんな連中に混じって大学進学を目指すガリ勉のダイガクまで、チームに加わっているのだが、どうして仲間になったのか覚えていないのです。
アラビアンナイト シンドバットの冒険
昭和50年10月1日〜昭和51年9月29日 フジテレビ
 何でもかんでも見てやろう〜何でもかんでも知ってやる〜♪のオープニングこそが、この作品の全てを物語っているといっても過言では無い。冒険心に燃える少年シンドバットは、どんな危険な目にあいながらも世界中を旅し続ける。ちなみにシンドバットと一緒に旅している九官鳥のシェーラは、お姫様が魔法で姿を変えられた姿。最終回で人間に戻った姿は、かなり可愛かったのを覚えている。
 作品に千夜一夜物語の世界を、話にうまく取りこんでおり、ロック鳥空飛ぶじゅうたんなどが出てくるほか、後半になるとアラジンじいさんアリババが仲間になって3人と1羽で旅を続けることになる。そして、物語も終盤、これまで登場してきたサダジットタバサといった悪い魔法使いたちが、組織を作って襲いかかってくるようになる。
 さらに、魔法使い組織を壊滅させると、巨大な魔神たちが襲ってくるようになる。ここで登場する砂漠の魔神や、氷の魔神もこれまでの話で登場してきた連中。ちなみに砂漠の魔神のエピソードで、私に3つの不思議な話を聞かせたら許してやるというのは、なかなかの傑作である。そして、魔神たちを殲滅して最終回を迎えるが、それどもシンドバットは冒険を続けて行くのである。
作品のツボ→忘れられないのは、第4話のあやしい老人。シンドバットが負ぶってあげた老人の正体は悪魔だったのだが、とにかく30分間、いかに背中からおじいさんを引き離すかが描かれ続ける怖い話。
宇宙鉄人キョーダイン
昭和51年4月2日〜昭和52年3月11日 TBS
 ロボット工学の権威である葉山博士が、ダダ星からの侵略に備えて自分の二人の息子をモデルに作ったニ体のロボットスカイゼルグランゼル。このニ体には葉山兄弟のDNA情報が全てインプットされており、兄弟の顔はロボットのモニターを通じて映し出される。こうして書くと、葉山兄弟が死んでしまったか、もしくはロボットの中で遺伝子情報のみが生き残っているかのように思えるが、本物の葉山兄弟はダダ星に捕らわれて、ちゃんと生きている。子どもの時には、それが分からずにダダ星のロボットと戦うために、自らの体をロボットに作り変えたのだと思いこんでいた。
 スカイゼルの元になった兄の葉山譲治特捜最前線の叶刑事でおなじみの夏夕介、そしてグランゼルのモデルである弟の葉山龍二を演じたのは、仮面ライダー2号の一文字隼人の佐々木剛である。そして、この作品で特筆すべきは、ダダ星のロボットを倒すための最後の必殺技。スカイゼルがジェット機、グランゼルがミサイルになるパターンと、クランゼルが車、スカイゼルがミサイルに変形する二つのパターンが存在する。敵に突っ込む時にオラオラ言いながら命中する様が見ていて痛快である。敵のロボットも最初の数話は、巨大バズーカ砲や、巨大ガトリング砲に変形していたのだが、その設定が無くなってしまったのは、少し残念な気がする。特に巨大戦車に変形するタンクーダは、何故か華麗にバレーを踊る強烈なキャラクターだった。
 ダダ星のロボット全てを操る最後のボスのガブリンは、巨大な手に目があるというデザインで、魔の山をBGMに登場する。その部下にはガブリンクィーンや、デスギャット、デスギラン、デスフラッシュ、デスバイキン、デスガッターのデス5人衆がいる。ちなみに、当時テレビランドで連載されたマンガの主人公はキョーダインではなく、デスギャットレーダーバットンの迷コンビだったのを記憶している。そして、物語後半からは、秘密が隠された歌をめぐっての戦いとなる。「カキにカボチャはカンナかな、マンゴ、マツタケ、マンダリン、クリにクルミはクチナシの、ライラックはラベンダー♪」という歌詞に秘密が隠され、堀江美都子が演じる白川エツ子少尉が毎回歌っていた。
作品のツボ→お手伝いロボットのゴンベスが作る料理が、本当においしそうだったんだこれが。
ウルトラQ
昭和41年1月2日〜昭和41年7月3日 TBS
 30代後半の男性の多くの、その後の人生にまで影響を与えた作品といえるウルトラQ。ゴジラでおなじみの円谷プロの作品がテレビ化されるということで、当時の子供たちはブラウン管にかじりついた。それから先、第1話のゴメスを倒せから始まり毎週30分間、怪獣や怪現象など魅惑の世界が展開されることになるのである。
 実は自分はウルトラQには乗り遅れた年代で、再放送もめったにされなかったことからウルトラQは幻の作品となっていた。怪獣だけは本を読んで知っていたものの、ウルトラQとはどんなヒーローか一度見てみたいと勘違いしていた。ウルトラQはペギラが来たガラダマなどの怪獣物と、悪魔っ子あけてくれといったアメリカのアンバランスゾーンに影響されたような怪現象ものに分けることが出来る(他にもカネゴンの繭超特急西へといったコミカルな作品もあるのだが…)。これは当初、怪現象物で進められていたのが、子どもにうけるものをということで路線変更がなされた結果によるものだそうである。確かに怪獣が出た方が見栄えはするが、怪現象を描いた作品はかなり見ごたえが有る(バルンガなんか最後のナレーションの怖いこと)。
 しかし、忘れられないエピソードはガラダマでのガラモンのあっけなさ(まあ、最初の1体はプロトタイプだったんだろうけれど)。
作品のツボ虹の卵などに出てくる元気な子どもたちは、ウルトラQの魅力の一つといえると思う。
江戸の激斗
昭和54年5月31日〜昭和54年12月27日 フジテレビ
 江戸の旋風江戸の渦潮に続く江戸シリーズの3作目。江戸末期で治安が悪化する中、南町奉行所は力で正義を貫こうと遊撃隊を組織する。彼らは1回の仕事を5両で引き受け、盗賊団などの無法者どもを切り捨てていくのである。こいつらは非合法の集団なので、各人が様々な理由で集まった浪人に過ぎない。そんなメチャクチャな連中を率いるのは、南町与力で「花咲きじいさん」と呼ばれる花咲長兵衛(小林桂樹)と、遊撃隊隊長の毛間内以蔵(露口茂)。露口茂といえば、太陽にほえろのヤマさんや、NHKで放送されたシャーロック・ホームズの声で有名だが、この番組でも厳しくかつ隊員のことを思いやる役回りで重厚な演技を見せている。
 その他の遊撃隊のメンバーは、女郎屋の用心棒の町藤太(夏木陽介…Gメン75)、旗本の八男坊の滝新八郎(柴俊夫シルバー仮面、不義密通で人妻と駆け落ちして水戸藩を脱藩した江藤燐兵(地井武男…太陽にほえろ)、武家の生活がいやで尾張藩を脱藩した好青年の篠原道之介(名高達郎…ハングマン)、九十九里の漁師で我流の剣を使う片倉小助(三浦浩一…岡っ引きどぶ)、薩摩藩士と言っているが実は百姓の久坂一(石橋正次アイアンキング、藤太の隣人で行方不明になった藤太の代わりに入隊した堺金吾(左とん平…猪八戒)。といった感じで、ごらんの通りのくせものぞろい。何となく特撮色が強い気がするのは、実は円谷プロが制作した時代劇だからである。
 この番組の最大の見どころは番組終盤の大立ち回り。敵の数も多けりゃ、斬ってかかる遊撃隊のメンバーの数も多い。遊撃隊のメンバーは、各人が使う武器が違ったり、刀を使うものでも斬り方が異なるなど、一人で敵を倒しまくる暴れん坊将軍や桃太郎侍とは全く違った迫力。立ち回りの際に流れる熱いBGMとともに見ている方の気分も盛り上がる。過激な任務ゆえに殉職者も多く、放送されていく中で、メンバーが入れ替わるのも魅力の一つである。
 「江戸に咲き、江戸に散るのが我等の定め。たった五両に命を懸けて修羅場をくぐる遊撃隊。明日の墓標を誰が知る」
作品のツボ→敵地に向かう時に流れる挿入歌の「風に吹かれて」は名曲。これがあるから最後の立ち回りが盛りあがる。
円盤戦争バンキッド
昭和51年10月3日〜昭和52年3月27日 日本テレビ
 地球侵略を企てるグザレ司令率いるブキミ星の宇宙人と戦うのは、4人の子供と、その家庭教師。天才科学者のおじいちゃんは自分の孫と家庭教師をバンキッドに変身させて敵を迎え撃つ。このバンキッドチームのリーダであるペガサスは家庭教師の先生が務めていたのだが、それを演じていたのは若き日の奥田瑛二である話は結構知られたエピソード。
 この番組が今でも忘れられない最大の要因として、ブキミ星人の一人一人に階級が付けられていたことがあげられる。アルバレン中尉、エクスズ少佐、シイベス少将など、どの階級が上なのか考えながら興味深く見ていた記憶がある。この階級を持った宇宙人たちが、子供の家畜化を計画したり、どうしてお正月に子供がはしゃぐのかを探りに来たり、マヌケながらも、どこか不気味な作戦を立ててくる。こうした感じで。成田亨デザインの宇宙人たちの行動からは目が離せない。
 そして、これだけ執拗に地球の侵略を繰り返してきたにも関わらず、最終回でグザレ司令が、おじいちゃんから説得されて改心したことで侵略は終わりを遂げる。これまでの戦いは一体何だったのかと突込みを入れたくなるようなラストであった。
作品のツボ→自分の家が秘密基地になっていて、おじいちゃんと孫たちが利用しているにも関わらず、両親はそれに気付かない。ちなみに秘密の入口はタカトクの生き残りゲームを動かすと現れる。
おしどり右京捕物車
昭和49年4月4日〜昭和49年9月26日 TBS
 北町の虎と恐れられる同心の神谷右京(中村敦夫)は悪を心から憎む正義の男だった。しかし、その一途なまでの正義感は、やくざの万蔵親分の恨みを買うことになり、両脚を砕かれ二度と歩けぬ身となってしまう。そんな役に立たなくなった右京を、これまでの功績など無かったかのように奉行所は容赦なく放逐する。絶望に打ちのめされる右京を、妻のはな(ジュディ・オング)は、健気に支えようとするが、いやがらせを続ける万蔵一家から逃れようとする途中で、身重だったはなは流産してしまう。
 だが、右京は絶望の底から這い上がってくる。鞭の腕前を磨き、妻のはなに手押車を押させて、悪党共をバッタバッタと倒していく。こうして前代未聞の歩くことができなヒーローが誕生したのである。右京は、かつての同僚だった秋山佐之助(前田吟)から1両で事件を引き受けるが、それでは日々の暮らしもままならない。それでも、悪を倒すことができるというだけで、右京は満足なのである。
 足が動かないというハンデは大きく、しばしば右京はピンチに陥るが(はなと夫婦喧嘩しただけでも、車を押す人がいないから大ピンチ)、それでも正義の心と愛の力で悪に立ち向かっていく。クライマックスのBGMで流れるエンディングの「愛は夕陽に燃えて」が実に熱い。
作品のツボ→時代劇でありながら、右京が相手する悪党連中は、どいつもこいつもぶっ飛んだ連中ばかり。ヒッピー連中からライフル魔にいたるまで、バラエティ豊かな悪役がおもしろい。全話を紹介したおしどり右京捕物車見聞帳は、こちらからどうぞ。
『か行』

怪奇大作戦
昭和43年9月15日〜昭和44年3月9日 TBS
   ウルトラセブンの後番組として始まった、幻の日本版Xファイル。S・R・I(科学操作研究所)のメンバーが謎を追う。だいたい発生する怪奇現象の大半は本物の幽霊よりは、恐るべき発明による犯罪というパターンが多く見られる。
 死神の子守唄はアガサ・クリスティのそして誰もいなくなったへのオマージュ。第1話の壁抜け男キングアラジン究極超人あ〜るでも、ネタとして取り上げられている。そして狂気人間の話は映画の39/刑法第39条でもテーマとして取り扱われた心身喪失者による犯罪の問題で放送禁止作品。
 昔の作品なので話の作りが粗い部分もありますが、それを差し引いても日本の特撮の異色作として注目すべき所がある。それでもこうもり男の最後は拍子抜け。
作品のツボ→怪奇大作戦は怪優岸田森の魅力が最高に発揮されている作品。特に彼が主人公となった京都売りますは必見。
快傑ズバット
昭和52年2月2日〜昭和52年9月28日 東京12チャンネル(テレビ東京)
 宮内洋のオーラが大爆発しているこの作品。特捜最前線弟切草でおなじみの乱歩賞受賞作家でもある長坂秀佳が全話の脚本を取っている。
 小林旭の渡り鳥シリーズのヒーロー版といった作りで、よく話題になるのは「その××の腕前は、日本で2番目だ」といって悪の用心棒相手に様々な勝負を挑むエピソード。早撃ち勝負居合抜き勝負ビリヤード勝負などは分かるのだが、話が進むうちに次第にエスカレート。ダイス勝負大工勝負などは、勝っても何の意味があるんだか分からなくなってくる。
 主人公である神出鬼没の私立探偵早川健は、ある時はボートに乗って、そしてまたある時はシャベルカーに乗って登場する。敵の組織のダッカーは世界征服を企むわけでも無く、伊豆のホテルの地上げをするなど妙に地に足がついた戦略だぞ。最高に笑える作品なのだけれど子どもの時にはズバットは自分の中におけるカッコ良いヒーローNO1だった。「飛鳥五郎を殺したのはお前だな!」と詰め寄る復讐の鬼である早川のすごさを知れ。
作品のツボズバットキックは敵にヒットしているようには見えず、またがっているようにしか見えない。子どもが真似することに配慮したのか。
ガンバの冒険
昭和50年4月7日〜昭和50年9月29日 日本テレビ
 冒険好きの町ネズミのガンバは海が見たくて、友人のボーボと共に旅に出た。そして港で出会った海のネズミ達は力自慢のヨイショをはじめ、一癖有るが気の良い連中ばかりだった。  そして、意気投合したガンバと海ネズミの前に島をイタチに襲われた忠太が助けを求めて飛びこんでくる。イタチの集団を指揮しているのは、どのイタチよりも大きく凶悪な白いイタチのノロイだった。ネズミにとってイタチは天敵。天敵と戦うというのは、ある意味宇宙からの侵略者と戦うよりも恐ろしいことではないだろうか。実際、ガンバ達がノロイに勝てるとは、とても考えられなかった。普通、アニメの最終回というのは主人公が敵のボスを倒して終わると分かっていても、この作品だけはそれが想像できなかったのである。それだけネズミ達とノロイの力の差は歴然としていた。それどころかノロイが支配する島にたどり着くことさえ容易なことでは無いのに…。
 この無謀な冒険に出たのはガンバボーボ忠太ヨイショに頭脳派のガクシャ、キザなサイコロ使いのイカサマ、医者のシジンの7人。この7人のしっぽを立てて突き進む勇気には脱帽するしかない。ちなみに子どもの時に一番好きだったのはイカサマ、今ではシジンがお気に入り。それとエンディングは怖かったなー。
作品のツボ→「そろた そろたよ 仲間がそろた一年ぶりに皆そろた。踊り踊らば あの娘(こ)と踊れ、ソテツの花の咲く下で。娘欲しけりゃ 泳いで渡れ年に一度の早瀬川」。まさか島に古くから伝わるこの歌が勝負のカギを握るとは…。
がんばれ!レッドビッキーズ
昭和53年1月6日〜昭和53年12月29日 テレビ朝日
 高校の野球部の女子部員だった江咲令子は、試合中にベンチに入るなという監督の言葉に怒って退部してしまう。そこで、監督を見返すために思い立ったのが、自らチームを結成して、その監督になってしまおうというもの。このうら若き女監督を演じるのは、今では見る影も無くなってしまった林寛子。野球のルールもろくに知らないのに監督になってしまう無鉄砲で気の強い令子が見事なまでにハマってました。
 そんな無茶な監督の思い付きで作られた小学生野球チームに集まってきたのは、どいつもこいつも困ったヤツばかり。ピッチャーのノミさんは、気が弱くていざという時に力が発揮できないノミの心臓の持ち主。キャッチャーのジュクは勉強はできるけれど運動は全くダメのガリ勉。ファーストのカリカリは試合中でも相手とケンカを始めてしまうほど短気な男、セカンドのスタイルは自分の格好ばかり気になって真剣に野球をやろうとしない、ライトのトータスはペットの亀をかわいがってばかりでボールを見てもいない、補欠のペロペロにいたってはいつでもペロペロキャンデーを手放さずなめてばっかり。こんな連中ではまともに野球なんてできるわけもなく、最初のバイキング戦では30−0の大敗をきしてしまう。というか1回表で30点を取られて、いつまでたってもアウトが取れないので、1回裏の攻撃すらさせてもらえず打ち切られてしまった(知っている限りの野球マンガで、これほどの敗北は見たことがない)。
 そんなレッドビッキーズだが、練習を重ねながら少しずつだが野球が上達していく。放送されたのは、昭和53年の1月から12月の1年間という大河ドラマ並のボリュームだが、その間には、メンバー各人にスポットがあてられた話が用意されている。ペロペロの父親が有名な柔道選手と判明したり、ジュクの成績が下がってきて問題となったり、監督もいろいろと大変である。また、浜名湖で地元チームと対戦したり、那須高原に合宿にいくなど、盛り沢山の内容で、最終回に東京都大会で優勝するまで目が離せない。なお、続編として作られたのが、それゆけ!レッドビッキーズである。
作品のツボ→ビッキーズのびっきとは、東北の方言でカエルの意味。いつも負けては、ビッキービッキー赤がえる、車に轢かれてヒキガエル〜♪とハヤしたてられていたのを思い出す。
緊急指令10−4・10−10
昭和47年7月3日〜昭和47年12月25日 NET(テレビ朝日)
 嵐の中にただ一人、風が吹き荒れ屋根が飛ぶ。屋根が飛ぶくらいなんだから大変なんだろうなとオープニングを聞く度に思ったとか思わなかったとか。
 怪奇大作戦と並ぶ日本版Xファイルと言うには、多少子供向けの作品なのだが、怪獣や宇宙人に立ち向かうのは、ウルトラマンや仮面ライダーのようなヒーローではなく、無線を片手に動き回る毛利チームのメンバーという普通の人間(チーフの鉄仮面は、それなりに強いけれど…)。この10−410−10は、隊員が無線で連絡を交わす際のコード。実は、子どもの時に大好きだった番組で、幼いながらも放送曜日と時間を覚えようと必死になったものである。
 しかし、設定資料を見てみると、人を襲う黄金のカブト虫は、実は精巧な機械。夜になると動き回るミイラは、実はリモコン。人間を襲う始祖鳥と鳥の中間生物ラゴンは、実はリモコン。って、リモコンネタ多くないか。思わず揚げ足を取ってしまいましたが、大人になってから見た第1話人食い植物ダーリングウツボなんか、かなりおもしろかったし、ただ鳥の様に空を飛びたい青年の物語を描いた第19話なんかかなりの名作。ちなみに、コードネーム白雪姫のお姉さんはレッドバロンにも登場したすごいきれいな女性です。
作品のツボ東京マタタビライダーというコードネームは、一見かっこ悪いように思えるが、良く考えると結構かっこ良いんでないかい。
クレクレタコラ
昭和48年10月1日〜昭和49年9月28日 フジテレビ
 クレクレクレ〜、クレッテ、クリャッテ、クリャリンコ、何でも欲しがるク〜レクレタコラ〜♪。と軽妙な音楽で始まるクレクレタコラ。月曜から土曜まで毎日放送されていた5分間番組。話の内容はというと、望遠鏡だの警棒だの人が持っているものを見ると欲しくなるタコの怪物?タコラが、相棒チョンボとともに、ある時は無理やり、そしてまたある時は策を労して相手のものを取り上げようとする。
 子どもに対する悪影響などなんのその。主人公タコラはわがまま放題の犯罪者。もちろん悪事がうまく行くわけも無く、毎回失敗して痛い目にあうことになる。また、タコラが自動販売機でジュースを買おうとすると、ジュースが変な場所から吹き出したりして買えずに終わるといった一連の自動販売機シリーズも記憶に残っている。  実はタコラは酢が苦手で、怪物トロロから酢をかけられるとダウンしてしまう。子供の時に、それを見てから今でも私は酢だこが食べられません(何でだ?)。
作品のツボ→タコラもチョンボもヒロインのモンローも、リボンの騎士のサファイアでお馴染みの太田淑子様が一人で声をあてていらしたとは、最近まで気付きませんでした。
ここは惑星0番地
昭和52年9月6日〜昭和53年1月24日 テレビ朝日
 怪獣も出なければ、ヒーローも登場しない特撮、いわゆるファミリー物と呼ばれるジャンル。レバン星が研究用に使うということで、万能ロボットダブロンによって宇宙に連れ去られてしまう島崎家大井田家山田家の3家族合計11人。しかし、宇宙船ニホン号は、途中で事故により未開の惑星に着陸してしまう。宇宙の漂流者ということで、おそらく元ネタとなっているのは、アメリカのテレビドラマ「宇宙家族ロビンソン」。湖で果物を収穫し、砂の中にいる魚を釣り上げて食料を確保するなど、地球の常識が一切通じない世界で、力を合わせながら(時には争いながら)、生き延びようと努力していくことになる。
 サザエさんやドリフターズの飛べ!孫悟空が裏番組と重なったことで、視聴率がふるわず20回で打ち切られてしまった不遇の名作ですが、子供時代の伊藤つかさが出ていることでも有名な作品です。おそらく最終回は地球に無事に帰ってきておしまいだと思ったのですが、再放送される機会も無く、記憶に残っていないのが残念です。
作品のツボ→恐ろしい原人が現れるということで、ようやく捕まえてみたら、キノコを食べて変化した潮健志さん(地獄大使)演じる山田家のお父さんだった16話「恐怖の宇宙キノコ」はトラウマになって残っている話です。
5年3組魔法組
昭和51年12月6日〜昭和52年10月3日 テレビ朝日
 男まさりのショースケ、それとは対称的に大人しい女の子のミコ、ハテナが口癖のハテナマン、わんぱくなガキ大将のガンモ、ガリ勉のチクワは、同じ5年3組の仲間達。ふとしたことがきっかけで、魔女のベルバラから魔法の道具をもらった5人は、魔法のアイテムを使って大混乱を巻き起こす。この魔法のアイテムはMJバックに収納されており、どれも一見すると文房具など、学校に持っていってもおかしくない道具に見えるようになっている。
 そのアイテムは、仲間で連絡を取り合う時に使用するMJシーバーをはじめ、動物やどんな物にでも変身が可能な辞書の形のメタモライト、物体を大きくしたり小さくしたりすることができる二つのレンズが付いたペンタゴンなど。野球のボールを二つに割ってヘッドホンのように耳にあてると動物の声が聴き取れるボイスボールになり、U字型の磁石が付いたバンノーダーは遠くに離れたものでも取りよせることができる。そして二つの三角形を組み合わせると空を自由に飛べるマジッカーとなる。しかし、何と言っても究極のアイテムがペンダント型の魔法アイテムであるマンガンキー。どんな願い事でも叶えてくれる優れもの。それならば、マンガンキーで何でも解決できるかと思ったら大間違い。マンガンキーを使用すると、とんでもないしっぺ返しがあるので、よっぽどのことが無いと使えないのである。
 魔法の呪文はアバクラタラリンクラクラマカシン。第1話では間違えてグラグラマカシンと唱えて、マジッカーがグラグラ揺れたのを覚えています。この魔法のアイテムにあこがれながら、5年生になったら3組になりたいと思ったものである。
作品のツボ第12話「魔法か科学かヤキトリ大競争」は、病気で倒れたショースケのお父さんに、幻の鳥公のタレで焼き鳥を食べさせる話。本物のタレが失われたので、ベルバラをはじめ全員でタレ作りに兆戦するという、かなりぶっ飛んだ話。そして第39話「行方不明のガンモやーい」はメタモライトでガンモがダルマになって戻れなくなる話で、子どもの時に見て怖かった記憶がある。
コンドールマン
昭和50年3月31日〜昭和50年9月22日 NET(テレビ朝日)
 レインボーマンと同じく川内康範原作の熱い魂を持った作品。平和を愛する青年三矢一心とゴールデンコンドルが一つになり生まれた超人コンドールマン。悪の組織モンスター一族を倒すために戦うのである。
 とはいったものの、子ども心にコンドールマンなんてどうでも良かった。この作品の魅力はモンスター一族の怪人のすばらしさにつきる。オープニングでも連呼されるゴミゴンスモッグドンヘドロンガー。さらにはバーベQマダムバーベQ。こいつらの活躍が楽しいのなんのって。レインボーマンと同様に一話完結でなく、敵の作戦も妙に凝っていて子どもは置いてけぼり状態。彼ら個性的な公害怪人たちが協力して、時には足を引っ張り合って侵略をしてくる所を見ているだけで満足だった。
 そんな話だったものだから、ずいぶん見ていたにも関わらず敵の怪人が倒されたところを見たことが無い。コンドールマンも戦いが進むにつれゴールデンコンドルドラゴンコンドルに変身できるようになるのだけれど、そんな姿を見た覚えが無い。今、改めて見てみたい番組NO.1。
作品のツボ→エンディングで敵の本部であるビルの一室で楽しく踊りまくる、モンスター一族の怪人達。彼らは人間を苦しめて本当に楽しそうだった。

『さ行』

ザ・カゲスター
昭和51年4月5日〜昭和51年11月29日 NET(テレビ朝日)
 全ての事件の発端は風村コンツェルン令嬢の風村鈴子と、秘書の姿影夫が誘拐されたことから始まる。誘拐団から逃れようとした二人は高圧電線に触れ感電してしまう。そのショックで二人の影が実体化できるようになったのである。影夫の影はカゲスターとして、鈴子の影はベルスターとして悪と戦うことになる。
 他のヒーローと大きく異なるのは、人間がヒーローに変身するのではなく、影が変身して戦うことである。それでは、影がカゲスターになって戦っている間、影夫と鈴子はどうしているかというと、全くのヌケガラ状態になってしまうのである。だから、戦っている間に敵に襲われないように、安全な場所でカゲスターを呼び出さなければならない。
 戦う相手は、宝石強盗など普通の人間であるのも、仮面ライダーなどとは一線を隔していた。怪人のような姿をしていても、それは顔を隠すための変装なわけで、いわゆる怪人のコスプレをしている連中と戦っていたわけである。ただし、後半はナチスの残党のドクター・サタンが生み出す怪人と戦う形になってしまった。さすがに怪人が出てこないのは子どもにうけが悪かったのであろうか。
作品のツボ→カゲスターの必殺技は、巨大な影であるカゲロベェが子分になって敵をにぎりつぶしたりするもの。実に爽快感あふれる無敵の必殺技である。
少年探偵団
昭和50年10月4日〜昭和51年3月27日 日本テレビ
 江戸川乱歩の少年探偵団は、何度かドラマ化されているが、最も印象に残っているのは、BD7の少年探偵団である。BD7はBoy Detectives 7の略。明智小五郎の下で活躍するのは、団長の小林少年をはじめ、アメフトをやっていて体力自慢のガッツ、ゴムパチンコの名人で百発百中のゴムカン、ものまねの名人でどんな人や動物の声もマネできるオウム、身が軽くて忍び込みの名人のトンボ、メカいじりの天才のキカイ、そして紅一点で手品の名人のマジョの7人。
 7人、7人、7人そろえば怖くはな〜いさ〜♪のオープニングを覚えている人は、どれぐらいいるだろうか。神出鬼没の怪人20面相が奇抜なトリックを仕掛けて、UFO平家の亡霊などの騒ぎを巻き起こすというのが基本的なストーリー。20面相は登場人物の中の誰かに変装していて、それを明智が解き明かして行く。20面相の変装はバリエーションに富んでいて、時には警視庁の中村警部や、明智小五郎にまで(この時には、小林君が見破った)変装をしていた。メイン脚本家は快傑ズバット特捜最前線でおなじみの、後には江戸川乱歩賞作家となった長坂秀佳。どおりで、話が練れていたわけである。
 ちなみに、20面相が変装を解くポーズが、カッコ良かったことから、よく真似をしたものである。少年探偵団のアイテムであるBDバッジをはじめ子どもの興味を引く要素を、うまく盛り込んで作り上げた番組であった。
作品のツボ→この番組で必ず話題にのぼるのが、怪人20面相の正体が団次郎だったということ。最終回に少年探偵団が俳優の団次郎の家に遊びに行ったら、団さんが20面相だったという衝撃のオチだった。
シルバー仮面
昭和46年11月28日〜昭和47年5月21日 TBS
 同じ特撮物のミラーマンと放送時間が重なったことから、視聴率が振るわず低迷なままに終わった不幸な作品。地球の侵略を企む宇宙人の陰謀をあばくといった内容は、特撮ではお馴染みだが、シルバー仮面では、その宇宙人の存在が生活の身近にせまる恐怖といった感じがする。
 第1話で父親を殺され家を燃やされて放浪の旅を続けることになった春日5兄弟。シルバー仮面に変身するのは芝俊夫演じる次男の光次。シルバー仮面や宇宙人のデザインはかっこ良いし、話もしっかり作りこまれている。にもかかわらず、ミラーマンに負けた原因は何だったのだろう。最初、変身ヒーローなのに巨大化しなかったシルバー仮面がいけなかったのか(途中からてこ入れで巨大化)、それとも子どもが見るのがいやになるぐらい、つらい仕打ちが次から次へと春日兄弟を襲うせいなのか。それともシルバーキックが命懸けだからなのか(たかがキックが命懸けとは…)。
 ちなみにシルバー仮面のオープニングの歌はあるが、バックで流される映像は作られておらず、ストーリーが進む中で、オープニングの歌が流される。第9話は葬式の場面から始まるので、それをバックに歌が流れる。噂には聞いていたけれど、お骨を持った参列者の映像でシルバー仮面の歌が流される場面は死ぬほどおかしい。
作品のツボ→最終回で春日兄弟は宇宙人の子どもを送り届けるために宇宙への旅に出る。到着は30年後の2001年、ってことは昨年になってやっと旅が終わったのか。
人造人間キカイダー
昭和47年7月8日〜昭和48年5月5日 NET(テレビ朝日)
 良心回路が不完全なまま、プロフェッサーギルが率いる悪の組織ダークと戦うキカイダー。30代の男性の中にはキカイダーを狂わすギルの笛が怖くてテレビを見られなかった人が数多くいるはずである。
 キカイダーの怪人ダークロボットはグリーンマンティスモモイロアルマジロなど動物に色を組み合わせたものとなっている。中でも漫画家の唐沢なをきがグリーンカイメンをひいきにしているのは有名な話である。それにしても女ベニクラゲとかバイオレットサザエとかすごいネーミングだこと。
 善と悪の狭間で揺れ動き続けたキカイダーだが、石ノ森章太郎の原作では最期に無理やり完全な良心回路を埋め込まれ、僕は人間と同じになったからこんなこともできると言って、洗脳されたビジンダーキカイダー01を殺している。最後にピノキオは人間になって本当に幸せだったんだろうかというナレーションが重い。さすがに、この重さにたえられなかったのか、後にイナズマンの原作の中でキカイダーと戦い、超能力で元に戻すというエピソードが入っている。ときにプロフェッサーギルの最期って、どうなったんだっけ。
作品のツボ→キカイダーの生みの親である光明寺博士の脳を埋め込んで、兄にあたるキカイダーの命を狙うハカイダーの悪の魅力は最高。(それなのに続編の01では…)
スーパーロボット マッハバロン
昭和49年10月7日〜昭和50年3月31日 日本テレビ
 マッハバロンといって真っ先に思い出すのは、あのロックなオープニング。あそこまでかっ飛んだオープニングはアニメ・特撮の中でもずば抜けているのではないだろうか。ロボットのデザインはレッドバロンより洗練されて、スマートにそしてリアルなものとなっている。
 敵の首領のララーシュタインは元ドイツの科学者で髪が逆立っている怖いおじさん。そういった設定なので、配下にいるのはタンツ陸軍参謀ゲラー空軍参謀スーカン海軍参謀といういかにもドイツ軍といった顔ぶれ。子どもの時にはこの3バカ兄弟はララーシュタインの子どもかと思っていたのですが、彼らもロボットだったのね。そしてララーシュタインが送り出してくるロボットもヤークトパンテルUFOとか、シュミットGなどドイツ色でいっぱいです。
 敵の作戦もマッハバロンを奪い取ろうとしたりするなど、かなり緻密な作戦を立てるという、大人でも楽しめそうなつくりだが、正直言って子どもの時にはレッドバロンの方が好きでした。レッドバロンが世界のロボットだったのが、ドイツだけになってしまったからね。ちなみに毎回流れるマッハバロンの出動シーンは特撮魂を熱くさせる名シーン。あと、レッドバロンの自転車刑事は、マッハバロンでは発明刑事になっています。
作品のツボ→正義の組織KSS(キス)のメンバーのガンさんを演じた力石孝はあしたのジョーの力石のモデルとなった人だそうである(確かに顔とかは力石に似ています)。

スーパーロボット レッドバロン
昭和48年7月4日〜昭和49年3月27日 日本テレビ
 第1話でロボット博覧会で展示されていたロボットが盗み出され、その後は盗まれたロボットが敵に悪用されるという設定に、幼い自分はすっかり魅せられてしまった。世界の国の名前をレッドバロンを通じて覚えたものである。
 かつて石油採掘森林警備で活躍したロボットたちが、その能力を戦闘に生かして襲い掛かってくる。レッドバロンの必殺技のエレクトリッガーは高圧電流を敵に流して戦闘不能にしてしまう技で、確かにこれはロボットにとって必殺技だと妙に納得した記憶がある(ただし、ブラジルの発電用ロボットのエレキアマゾンには通じない)。
 26話で鉄面党を指揮していたデビラー博士が倒され、それ以降は宇宙鉄面党との戦いなる。この展開は、世界のロボット登場を楽しみにしていたものにとってはちょっと残念。ちなみにオープニングでは鉄鋼所を溶けた熱い鉄が流れている場面が映るのだけれど、見事なまでにロボット魂を熱くするオープニングだ。
作品のツボ→サブキャラだけどたまに活躍するので好きでした警視庁科学捜査科の自転車刑事
スペクトルマン
昭和46年1月2日〜昭和47年3月25日 フジテレビ
 その狂気から生まれた星を追放された、天才科学者の宇宙猿人ゴリ。スペクトルマン以上に彼のキャラクターが際立っている作品。何といっても番組タイトルが、最初は宇宙猿人ゴリとなっていたぐらいなのだから。この宇宙猿人ゴリと部下のラーが、地球の生物から怪獣を生み出して襲いかかって来る。
 ヒーローのスペクトルマンは、ふだんは公害調査員である蒲生譲二の姿をしているのだが、自分で勝手に変身することができず、ネビュラの星に向かって「変身お願いします」と頼んで、ようやく変身することができるという困り者。
 放送当時、公害問題が取り沙汰されていたことから、初期の怪獣は、ヘドロンやゴキノザウルスなど公害問題をモチーフにしたものが多く、迎え撃つのも公害Gメンのメンバーとなっている。ちなみに公害Gメンのチーフを演じている大平透はハクション大魔王の声でも有名。
作品のツボ→48話、49話と続くノーマンの話は、アルジャーノンに花束をを下敷きに書かれている。それにしてもノーマン怖すぎ。
セーラー服反逆同盟
昭和61年10月13日〜昭和62年3月23日 日本テレビ
 斉藤由貴、南野陽子、浅香唯などのアイドルが麻宮サキを演じて、フジテレビの人気番組となったスケ番刑事。それに対抗するために作られたのが、日本テレビのセーラー服反逆同盟だった。パクリものながらも、独特の感性を持ち、スケ番刑事とは違った意味での、すごさを持っていた。
 かつてエリート校であった黒鳥学園は、いまでは悪の巣窟となっていた。その学園の悪を駆逐するために4人の女子生徒が立ちあがった。4人のリーダーであるユミを演じたのは仙道敦子。彼女が第1話でヘリコプターに乗って転校してきたのが、すべての始まりだった。さらにユミを影ながらサポートする理事長の娘であるミホを演じたのは中山美穂。ユミたちの危機になると、どこからなくとも現れてバラの花を投げてピンチを救う。中山美穂はスケジュールの都合か、本編にはほとんど登場しない回が多く、毎回バラを投げる同じフィルムが使用されていた。戦闘時には素顔を隠すためにハデなメイクで顔を隠す反逆同盟のメンバー(中山美穂までハデメイク)。しかし、白いセーラー服で登場し、「天に代わって成敗する」というセリフは吐く姿には、感動すら覚えるのである。
 ユミとミホ、そしてルリ(山本理沙)ケイ(後藤恭子)の4人の前に立ちふさがるのは、不良生徒だけではない、教師連中も一癖あるやつらばかりなのである。体育教師の安岡力也や、藤岡重慶、さらにはウルトラマンの黒部進に至るまで、すごい連中が顔を連ねている。またクラスメイトの中に森口博子小沢なつきがいたのも、忘れてはならないポイントである。
作品のツボ→個性的な悪党軍団の中で、風紀委員を指揮していたのは竹中直人。最後には強敵になるのかと思われたのだが…。
それゆけ!レッドビッキーズ
昭和55年8月29日〜昭和57年3月26日 テレビ朝日
 前作となるがんばれ!レッドビッキーズの後を受けて作られたのが、この続編。前作の最終回に東京都大会で優勝したレッドビッキーズは、すでに伝説のチームとなっていた。それにあやかって結成されたのが、今度のレッドビッキーズ。子供たちが集まってチームを作ったのは良いが、肝心の監督がいない。レッドビッキーズの監督といえば女性に決まっている。そこで道行く人の中で、一番目に付くきれいな人ということで監督に選ばれたのが(ナンパかよ!)、斉藤とも子演じる星野ゆかりだった。昔のレッドビッキーズよりは野球が出来る子供が集まったとはいえ、おちゃらけてばかりのラクゴや、占いの結果を気にするエキシャなど、変わり者ぞろいということには変わらない。ノックも出来ないゆかりだったが、子供たちの野球をやりたいという願いを叶えるために、懸命に監督業をこなしていくことになる。
 そうして子供たちと一緒に頑張ってきた監督も、外国に留学することになったため半年で交替することになる。ゆかり監督から、自分の代わりにレッドビッキーズをお願いと直々に氏名されたのが、ポパイこと高原樹里(山田由紀子)。前の監督よりも運動神経は良いのだが、ゆかり監督があまりにも子供たちに好かれていたため、馴染んでもらうまでが一苦労で、新監督を追い出せといったエピソードもあるぐらいである。この監督交代のエピソードは、かなり感動できる話だが、ちなみに81年3月は、金八先生、レッドビッキーズ、オタスケマンと感動させられる話が多かった。
 しかし、子供たちと連携が取れてからは、破竹の快進撃を開始。ポパイ監督時代は、1年間の放送の中で、13戦して2回しか負けていないのだから大したものである。ピッチャーのミルクが投げる一度落ちかけた球が浮き上がる魔球ミルクボールも冴え渡っていた。
作品のツボ→忘れられないのが、自信を無くしているピッチャーを励ますために、がんばれ!レッドビッキーズの時のピッチャーだったノミさんが登場する話。「どうしてボクがノミさんと呼ばれるか知ってるかい」で始まる励ましの言葉に思わず感動。
『た行』

ダイヤモンドアイ
昭和48年10月5日〜昭和49年3月29日 NET(現テレビ朝日)
 ダイヤモンドアイは時価10億円のブルーダイヤから登場するヒーローである。彼を呼び出すことが出来るのは週刊ジャパンの記者である雷甲太郎のみである。ダイヤモンドアイはこの世の悪を倒さぬ限りはダイヤに戻れぬ宿命。甲太郎とダイヤモンドアイは前世魔人キングコブラのアジア征服という野望を打ち砕くために戦うことになる。
 原作はレインボーマンコンドールマンでお馴染みの川内康範。東洋的な世界を背景に社会悪を倒すというテーマは川内康範の最も得意とするところである。特に大物政治家などの不正の証拠をつかんで、ゆすった金でアジア征服の資金を作るハリケーン作戦などは、子供向け特撮とは思えないアイデアである。
 ダイヤモンドアイとの戦いで傷ついたキングコブラと代わって登場したのが、娘のヒメコブラ。ただし、父親のキングコブラほど悪に徹し切れないところがあり、最終回では改心することになる。ちなみに、ダイヤモンドアイの必殺技はロイヤルパンチ。「外道、消えろ!」の掛け声でステッキから出てくる光弾で、逃げる敵をどこまでも追っていく。
作品のツボ→敵の前世魔人たちは、普段は人間の姿をしている。彼らがダイヤモンドアイの目から発せられる外道照身霊波光線をあびると、「ばれたか〜」のセリフとともに正体を表すのである。
超人バロム1
昭和47年4月2日〜昭和47年11月26日 よみうりテレビ/NTV
 仮面ライダーにしろ、ウルトラマンにしろヒーローに変身するのは、大人のお兄さんというのが70年代特撮の定番だった。それが自分達と同じ世代の子どもがヒーローに変身して怪人と戦うことに衝撃を覚えたものである。子どもなんかに地球の平和を託して良いものかと不安で仕方がなかった。この後には、バンキッドガンバロンという子どもヒーロが出てくることになるのだが…(どちらもマイナーヒーローであるのは偶然か)。
 そして、この不安は敵中することになる。超人バロム1に変身して悪の化身ドルゲと戦うのは、秀才の白鳥健太郎とガキ大将の木戸猛の2人なのだが、この2人の友情パワーが崩れると、バロム1に変身できなくなってしまう。時にはささいな事でけんかして変身できなくなる危機が襲ってくる。
 しかも、こんな子どもたちが戦わなければならない怪人軍団は、数ある特撮番組の中でも、群を抜いて気持ち悪い連中ばかり。初期のオコゼルゲイカゲルゲゲジゲルゲなども結構デザイン的にくるものがあるのだが、後期になってから出てくるクチビルゲノウゲルゲクビゲルゲなどの人体怪人の不気味さは、テレビを見た子どもを恐怖のどん底に突き落とす。実際、ウデゲルゲが障子の向こうから登場するシーンは、今でも忘れることができない。
 学校でドルゲ君といったドイツ人の子がいじめられるという事件まで発展してしまった番組だが、子どもは気持ち悪いものが好きなんだと実感させてくれる作品である。
作品のツボ怪人ヤゴゲルゲが歌う子守唄は、一度聞いたら二度と忘れることが出来ないほどインパクトのある音律なのである。「ヤゴ、ヤゴ、ヤーゴの子守唄、聞けば誰でも眠くなる」
電人ザボーガー
昭和49年4月6日〜昭和50年6月29日 フジテレビ
 ザボーガーで誰もが思い出すのは、ザボーガー変身前のバイク状態だろう。前面にザボーガーの顔がついたバイクは、子ども心に見てもおかしかった。基地もザボーガーの顔の形だし、そこまで顔にこだわりがあったのだろうか。
 ヒーローには必ず何らかの弱点があるものだが、ザボーガーの弱点は、主人公である秘密刑事の大門豊の怒りが頂点に達し、マシーンザボーガーに怒りの電流が流れないと、バイク状態から変身できないという点。もっとも、大門自身も訓練をつんで強いので、そこそこ戦えはするのだが…。敵の組織Σ団を操るのは、狂気の科学者である悪之宮博士(それにしても、すごい名前だな)。この悪之宮博士、足が不自由で車椅子に乗っているのだが、その車椅子も武装されている。しかし、その最期は車椅子から機関銃を発射している時に、ムチで引っ張られ、自分の車椅子の弾丸が命中するという悲惨なものだった。
 後半は、テコ入れで、敵が魔神三ツ首竜が率いる恐竜軍団に取って代わられる。ちなみに恐竜軍団幹部の王女メザはウルトラマンAの南夕子を演じた星光子さんだったのにはショック。そしてザボーガーも、もう1台のバイクとなるマシーンバッハと合体してストロングザボーガーにパワーアップ。しかし、この合体がバイク同士をぶつけて合体させるというもので、かなり無茶なものだったことを記憶している。ときにマシーンバッハに乗る健くんの、変な服装はどうにかならなかったものか。
作品のツボ→Σ団の殺人自動車シリーズのデザインは、かなり来ている。本当に乗れる車となっていて、デスガンダーヘルガンダーも良いのだが、車の前面がブルドックの顔をしているブルガンダーは、ぜひ一度運転してみたいものである。
『な行』

忍者キャプター
昭和51年4月7日〜昭和52年1月26日 東京12チャンネル(テレビ東京)
 現代でも暗躍する忍者たち、その悪の忍者たちに立ち向かうのが、忍者キャプターである。この作品の最大の特徴は、ヒーローが7人もいる事。リーダーの火忍をはじめ、お目付け役の雷忍、ライバルの水忍、紅一点の花忍、怪力自慢の土忍、メカに強い金忍、まだ子どもの風忍が、それぞれの必殺技を駆使して戦って行く。
 風忍は巨大なホルンのような武器で風を操る。吹くと突風で敵を吹き飛ばすのだが、吸うと敵をホルンの中に吸い込んでしまう。この場面は子供心に怖かったものである。
 第1部の敵は風魔烈風が率いる風魔一族。送りこんだ忍者が倒されると蝋燭の火が一本ずつ消えて行く。最初13本の蝋燭が立っていたので、全部消えたらどうなるのかと思っていたら、新たに4本の蝋燭が登場し、「次ぎはお前たち四天王の出番だ!」という驚きの展開を見せてくれた。しかも、それが倒されると三行者、五道人と続いて行ったのである。
 そして、第2部の敵は暗闇忍堂が率いる甲賀一族。今度は蝋燭は出なかったが、送りこんだ忍者が倒されると、巻物に書かれた名前が消されていったのである。
作品のツボ→小田原の忍者は風魔のはずだが、何故か番組では甲賀が小田原城を根城にしていた。最終回に小田原城で決戦を繰り広げたのは、今でも覚えている。
猫目小僧
昭和51年4月1日〜昭和51年9月30日 東京12チャンネル
 妖怪の猫又と人間の女性との間に生まれた猫目小僧。人間からは化け物扱いされ、妖怪からは敵視される。仲間も友達も持たない猫目小僧は実の母親を求めて旅を続ける。
 さて、なぜ猫目小僧をわざわざここで紹介したかというと、これは子ども番組の中で、いや、もしかしたらこれまでテレビで放映された番組の中で、最も怖い番組だからなのである。楳図かずおの絵が怖いのはもちろんのこと。何といってもアニメなのに紙芝居のような動きしかしないところが、また怖い。第1話で女性が道に落ちている気味の悪い石を捨てていると、実はその石は妖怪の脳味噌で、それが手から離れなくなってしまう場面を見たときは、あまりの怖さにその場を逃げ出したくらいである。
 思い返してみると猫目小僧の時代設定はいつの時代だったのだろう。江戸時代のような記憶もあるのだが、猫目小僧の服装は明らかに今の子どもが着るような服装だった気がする。それでも最終回には母親に会えてハッピーエンドで終わっているのがせめてもの救いだろうか。
作品のツボ→猫目小僧の必殺技は自分の爪をかんで、相手に吹き付けるんだけれど、それって威力あるのだろうか…。
『は行』

走れ!ケー100
昭和48年4月13日〜昭和49年3月29日 TBS
 SLが意思を持って道路を走る、この子どもの夢を現実にした番組が走れ!ケー100だった。鹿児島に住む伊賀山紋太(大野しげひさ)は、ケー100を、もう一度運転したいという北海道に住む元機関車操縦士の老人の願いをかなえるために日本縦断の旅に出る。
 とにかく苦難の連続の珍道中。途中には海もあるのだが、カーフェリーなんか乗らずに、機関車で海まで渡ってしまう。そして、ついに北海道でケー100と老人は感動の対面をはたすことになるのである。しかし、そこから第2部に突入。今度は機関車を一度も見たことがないという沖縄の少年の願いをかなえるために、苦労してたどりついた北海道から、一路沖縄へ日本を南下し始めるのである。
 とにかく、放送当時の子どもにとってケー100は、あこがれの存在だったのである。いつ自分の町にやってくるのか、毎回放送をチェックしながら、ルートを追い続けていたのである。一部は太平洋ルートで、二部は日本海ルート。残念ながら自分の町にはケー100は来なかったが、箱根まで来た時には、もうすぐケー100が来るとドキドキものだった。紋太の「ケー100、がんばっちょくりぃ」という薩摩弁とあいまって、印象に残る作品です。
作品のツボ→ケー100が毒蛇に噛まれて、高熱に苦しむという。エピソードがあるのだが、ヘビに噛まれて熱を出すSLという発想がスゴイ。
必殺シリーズ1 必殺仕掛人
昭和47年9月2日〜昭和48年4月14日 TBS
 記念すべき必殺シリーズの第1作。この作品のみ池波正太郎原作である。ただし、池波氏の短編小説「殺しの掟」と、連載小説「おんなごろし」を組み合わせて一つの作品にアレンジしたもの。池波氏の藤枝梅安の一連の作品が小説でシリーズ化したのは、この番組以降の話である。劇中で氏の原作となる作品は第12話の秋風二人旅や、28話の地獄へ送れ狂った血(完全に放送禁止作品)など数話のみ。
 音羽屋半右衛門を元締めとして、殺しを行うのは緒形拳が演じる針医者の藤枝梅安と、林与一演じる浪人の西村左内。必殺の骨子となる部分はこの第1作目の仕掛人でほとんど出来あがったといえる。梅安の針を使って心臓発作に見せかけて殺すプロの技。生真面目で家庭を大事にしながら殺しの世界に身を投じた剣の達人である左内。
 厳しい掟の元に殺しを行う仕掛人たち。彼らの闇の世界が、その後20年にも渡って描かれることになろうとは、この時には夢にも思わなかった。生き別れとなった実の妹を梅安が殺すことになる第23話おんな殺しなど名作多し。ちなみに第1話で登場した犬のカクちゃんは隠れたレギュラーだね。
作品のツボ→原作もそうだけれど、梅安が何かを食べている場面(鍋物など)は、話には関係無いけれど本当においしそう。
必殺シリーズ2 必殺仕置人
昭和48年4月21日〜昭和48年10月13日 TBS
 あの中村主水の初登場作品。もちろん主水は仕置人として刀を使って殺しを行うのだが、主人公という感じではないし、この後シリーズ化されて登場しつづけることになろうとは、おそらく番組スタッフも考えていなかったであろう。
 仕置人の仲間は、社会の裏を生きてきているような観音長屋の住人達。骨つぎを営む念仏の鉄(山崎努)は、主水と流刑先の佐渡島で知り合った。主水から「お前の指はやばくていけねえ」と言われた、その腕で相手の背骨や首の骨をはずしまくる。この時に挿入されるレントゲン写真は、時代劇として衝撃的なものであった。そして沖雅也棺桶の錠は、琉球空手を駆使しながら棺桶を作る手槍で相手を突き刺す熱血漢。
 自分たちの事を金を貰って人を殺す仕置人だと割り切りながらも、第1話で「これからも、こういった悪を始末するために、俺達は殺しを続けて行かなければいけないんだ」と言っているように、彼らは社会の弱者の立場を代表して、権力にあぐらをかいている悪を始末する正義の味方たちなのである。そして、この時の主水の決意が必殺シリーズとして20年以上にもわたって続いていくことになるのである。
 すぐに熱くなる棺桶の錠、不気味なからも自分なりの正義のポリシーを持っている念仏の鉄、そして彼らを束ねているクールな中村主水と実にバランスの取れた連中なのである。ちなみに、この頃の主水は、ヒゲも濃くて妙にギラギラした雰囲気がある。主水の「男、三十過ぎてイーかっこしようなんざ、落ち目んなった証拠よ」というセリフが身にしみるようになりました。
作品のツボ→記念すべき念仏の鉄が一番最初に骨をはずしたのは、当時テレビで有名だったクシャおじさんだというのが笑える。
必殺シリーズ3 助け人走る
昭和48年10月20日〜昭和49年6月22日 TBS
 中村主水が登場した前作の必殺仕置人を挟んでの、必殺仕掛人から続く山村聰の元締めシリーズと見るべきか…(もっとも山村聰が元締めを演じたのは仕掛人と、この助け人走るだけだが…)。
 殺し屋というよりは、口入屋の清兵衛の依頼で動く助け人が、誰かを助けるために、その過程で殺しを行うといった感じが強い。助け人は田村3兄弟の長男、田村高廣演じる兜割りで敵を刺す中山文十郎(文さん)と、水戸黄門の風車の八七でお馴染みの中谷一郎演じるきせるで脳天を指す辻平内(平さん)。それに20話から脳天逆落としで敵の首の骨を折る島帰りの竜が加わる。竜を演じるのは仮面ライダーV3や快傑ズバットで、ヒーローを颯爽と演じている宮内洋
 飄々とした中山文十郎のキャラクターや、文さん平さんの軽妙なやり取りで、前期必殺シリーズの中でも明るい感じの作品だったが、24話で情報収集役の為吉が奉行所に捕らえられ死を遂げてから、雰囲気が一変する。それ以降は奉行所に目をつけられながらの仕事となり、飄々とした文十郎に鬼気迫るものが生まれてくるのである。
作品のツボ→12話の同心大疑惑では中村主水がゲストで登場。中山文十郎とつばを交えるが、何とこの時の主水は空中1回転の技を披露している。
必殺シリーズ4 暗闇仕留人
昭和49年6月29日〜昭和49年12月28日 TBS
 仕置人で人気を博した婿殿こと中村主水を再び抜擢。ここから中村主水を主人公にした一連のシリーズが始まることになる。時代設定は江戸時代も終わりの近く。ペリーが黒船で来航し、1年後に再びやってくるまでの間が描かれることになる。
 殺しの仲間は今では黄門様を演じている石坂浩二糸井貢。殺し屋としては珍しい学者肌のインテリで、刃を仕込んだ三味線のバチで相手を切る。この殺し技は途中で妻を殺されてから仕込み矢立て(筆入れ)に変わっていく。
 もう一人の殺し屋は近藤洋介演じる村雨の大吉。殺し技は敵の心臓をつぶすという荒業。心臓をつぶすと心電図が映し出されるというすさまじい演出が見物。また、糸井貢の嫁のあや、大吉の愛人の妙心尼の両名は主水の妻りつの妹。つまり殺し屋3人は義兄弟という設定になるわけである。
 ちなみに13話の自滅して候に登場した山本学が演じる佐島昌軒は、相手に突進して骨を砕いてしまう強敵。主水と大吉、そして情報収集係の半次の3人がかりでようやく仕留めることが出来たのである。
作品のツボ→日本の開国を強く望んでいた糸井貢は、最終回で開国派の要人を殺すことになる。殺す直前に「私を殺せば日本の開国は遅れるぞ」との言葉にひるんで返り討ちにあってしまう。殺し屋に徹することができなかった男の悲しい最期である。
必殺シリーズ5 必殺必中仕事屋稼業
昭和50年1月4日〜昭和50年6月27日 TBSからNET(テレビ朝日)
 ギャンブルというキーワードで全編を包み込んだ必殺シリーズ屈指の名作。殺しを行うのは緒形拳知らぬ顔の半兵衛林隆三侍くずれの政吉のバクチ好きの二人組み。
 半兵衛はカミソリで喉元を切る、政吉は幼い頃に捨てられた母からたくされた赤い懐剣で刺すという殺し技。この二人のコンビの掛け合いは、ばくち好きという共通点があるだけに実にしゃれている。殺しを行うのが二人だけで、派手な殺しでもないので地味な作品かと思いきや、殺しを成功させられるかを、ギャンブル勝負のような手に汗を握る迫力で描き出している。第9話からくり勝負山城新伍を倒す時など「くせもの!」と天井に突き刺した槍を滑り降りて、喉を切るという荒業を成功させている。
 実は政吉を捨てた母親というのが草笛光子演じる殺しの元締おせいなのだが、親子の名乗りをあげることもかなわず政吉は非業の最後を遂げてしまう。ばくち打ちはしょせん幸せになれないという悲しき現実なのであろうか。ちなみにおせいは必殺商売人のおせいと同一人物というのが定説である。
作品のツボ→第20話負けて勝負は必殺シリーズなのに殺しを行わず、津川雅彦をポーカーで負かすのが目的。持ち札がブタなのにハッタリで倒すのはジョジョの奇妙な冒険第3部ダービーよりもこちらが先。
必殺シリーズ6 必殺仕置屋稼業
昭和50年7月4日〜昭和51年1月9日 テレビ朝日
 中村主水が、新たに組んだ殺しの仲間は、クールな性格で竹串で相手の首を刺す市松(沖雅也)と、怪力で屋根から突き落とす坊主の印玄(新克利)。それに殺しの依頼の仲介役となるおこう(中村玉緒)と、情報収集役の捨三(渡辺篤史)が加わる。
 第1話で主水と殺し合いを演じ、その後、仲間となってからも、主水たちとは付かず離れずの関係を続けた市松のスタンスが、殺しに緊張感を生み出している。しかし、最終回では、主水は逃亡する市松に自ら握ったおにぎりを渡している。その後、市松が食べようとすると、旅の支度金として中から小判が出てくるのだが、二人の間には、彼らなりの殺し仲間としての友情が存在したのだと思える。
 また、最初に印玄の屋根から落とす殺し技を見たときには、落とされる人間が「止めて、助けて」と繰り返し叫ぶというムチャクチャさに、これは失敗だろうと思ったものである。ところが、この殺し技が次第にツボにはまり、次にはどんな落ち方をするのかと期待するようになった。最期に敵とともに、自らも屋根から落ちて生き絶えた、彼の姿には鬼気迫るものがある。
 ちなみに、この作品で主水は、飯屋のおはつという女の子が、気に入って足しげく通うようになる。おはつの首筋を見て「うぶげが生えてやがる」とつぶやく主水は、ただのスケベおやじである。
作品のツボ→第2話「一筆啓上罠が見えた」で、市松の育ての親である鳶辰を演じた津川雅彦の怪演ぶりがすごい。影武者まで使って主水を追い詰めながら、市松が飛ばした折り鶴が首に刺さって、ついに絶命。
必殺シリーズ7 必殺仕業人
昭和51年1月16日〜昭和51年7月23日 テレビ朝日
 中村主水シリーズとしては4作目にあたる作品。前作の仕置屋稼業で仲間の市松を逃がした罪で主水は牢屋見回りに降格されている。そんな設定からか、社会のどん底の連中が、必死で悪を倒すといった感じの影のある作品となっている。
 落ちぶれた主水の仲間になるのが脱藩して逃亡者となった中村敦夫演じる赤井剣之介と、大出俊演じる常に縁起をかつぐやいとや又吉右衛門。この殺しの仲間達が、他の必殺シリーズの殺し屋に比べて弱かったりする。剣之介は剣の達人だったが、侍を捨てたこだわりから刀を使わずに髪の毛で相手の首をしめあげる。やいとやは熱した針で相手を刺すが、腕っ節はからきし弱い。それなりの殺しのテクニックは持ち合わせているものの、主水以外は殺しの技が一撃必殺ではないので、強い相手から時に反撃を受けることも。
 シリーズ屈指の渋い味わいを出している作品だが、中でもお勧めは24話あんたこの替え玉をどう思うシリーズ200回記念作品緒形拳などシリーズのこれまでの登場人物がゲストとして顔を出す。ただし、そんなゲストを抜きにしても奉行所のわずかな隙を縫って逆転劇を生み出すという凝った作りの秀逸な話。
 また、仕業人では主水が牢屋身回りで家計が苦しくなったことから中村家の庭の離れを様々な人に間借りさせている。ここを借りる人達が、さんまの頭を信心する宗教家など、どれも良い味を出している。特にシリーズ後半で間借りする女先生せんとりつのコンビと一緒になって話を盛り上げてくれる。
作品のツボ→最終回は必殺シリーズでは珍しい、主水と相手との一騎討ちでの果し合い。真っ向から向かってきた相手を切り伏せる主水を見て、やいとやが「恐ろしい男だ」とつぶやく場面が印象的。
必殺シリーズ8 必殺からくり人
昭和51年7月30日〜昭和51年10月22日 テレビ朝日
 殺しのメンバーの大半は、一緒に島抜けしてきた仲間たち。第一話ののっけから現代の銀座で始まったのには驚かされた。その後も、江戸の風俗と現代とを重ね合わせた描写を何度か取り上げている。
 元々、殺しの元締め(芦田伸介)は存在したのだが、第1話で悪の殺し組織である曇り一味に殺されてから、花乃屋仇吉(山田五十鈴)が元締めを引き継いだ。仇吉の島抜け仲間だったのは、八尺の藤兵衛(芦屋雁之助)、仕掛の天平(森田健作)、仇吉の娘の花乃屋とんぼ(ジュディ・オング)、藤兵衛の息子の八寸のへろ松(間寛平)の4人。それに枕作りの鉄ヘラで殺す夢屋時次郎(緒形拳)が殺しの仲間である。
 最も印象に残る殺し技を使うのは仕掛けの天平。花火を飲みこませて爆死させるというもの。殺しの瞬間には爆発する胃袋がレントゲンで映し出される。また藤兵衛の怪力もすさまじく、悪徳商人の店ごと張り手でつぶそうとしたほどだった。
 実は、このからくり人は必殺史上、もっとも悲惨な末路を辿った殺し屋たちとなっている。時次郎は最終回の一話前の12話で死亡。最終回の「終わりに殺陣をどうぞ」では、藤兵衛、天平が次々と殺され、元締めの仇吉も曇りと相打ちとなって死亡している。
作品のツボ→最終回の一つ前にあたる第12話「鳩に豆鉄砲をどうぞ」は、ジャッカルの日のオマージュとなる作品。夢屋時次郎は政府の要人である鳥居耀蔵(岸田森)の暗殺をねらって、塔の上から狙撃しようとするが、弾丸が飛び立った鳩に当たって失敗し自害した。
必殺シリーズ9 必殺からくり人 血風編
昭和51年10月29日〜昭和52年1月14日 テレビ朝日
 必殺シリーズの中でも、最も江戸時代後期にあたる作品。薩長の維新軍が江戸に向かってくる混乱の時代の中で活躍するからくり人たち。元締めの白濱屋おりく(草笛光子)のもとにいるからくり人は、足の指で相手の喉の骨をへし折る直次郎(浜畑賢吉)と、妖艶な感じで相手に近づき含み針を吹いて首にさす新之介(ピーター)の二人。そのメンバーに、溺れて死にかけていた男が仲間に加わったことから物語が展開し始める。
 おりくに助けられたその男の名前は土佐エ門(山崎努)。もちろん溺れていたことから付いた偽名である。その正体は薩摩の密偵。からくり人をしていれば幕府の様子を探りやすいということで仲間に加わっていたが、不正な悪を許せぬ熱い心の持ち主で、あくどいやり方ならば官軍の仲間ですら許さず始末する。殺し技は決まったものを持たぬが、一番メジャーなのはウィンチェスター銃による銃殺。無表情に敵の体に弾丸をたたき込んでいく。
 最後にはついに官軍が江戸に乗りこんでくるが、からくり人であった直次郎は、新しい時代にあこがれて官軍に身を投じる。しかし、官軍は彼を裏切って、その命を奪う。その非道に怒った土佐エ門は官軍の密偵でありながら、やつらを始末し、その後からくり人として生きていくことになる。かなしい運命の逆転であった。
作品のツボ→男でありながら女性以上の美しく、男を油断させて殺すピーターの演技はすごい。気がついた時には首に針が刺さっている。
必殺シリーズ10 新・必殺仕置人
昭和52年1月21日〜昭和52年11月4日 テレビ朝日
 仕置人で主水の仲間だった念仏の鉄が帰ってきた。骨はずしを得意とする念仏の鉄(山崎努)は、闇の組織である寅の会に所属していた。寅の会では、依頼人から殺しを請け負い、それを所属する殺し屋の中で、競り落としたものが、仕事をすることになる。裏切り者は、寅の会お抱えの殺し屋である死神(河原崎健三)によって始末されるという厳しい掟。殺しの競りは、川柳の形で読み上げられるという仕組みになっているが、なんと、第1話の問答無用で、詠み上げられた相手が中村主水だったのである。
 こうして、意外な形で再開することになった主水と鉄だが、主水の疑いを晴らした後は、再び仲間となって殺しを続けて行くことになる。さらに、鉄と組んでいた鋳掛屋の巳代松(中村嘉葎雄)も仲間に加わる。自作の竹鉄砲で、射程距離はたったの2間。しかも一発撃つと、銃身はバラバラに吹っ飛ぶという危険なしろもの。必殺シリーズの完成形ともいえる作品で、寅の会のシステムや、魅力たっぷりの殺し技、そして練りに練ったストーリーが、見ているものを楽しませてくれる。最終回では寅の会を裏切った辰三によって、虎は殺され、巳代松は拷問から植物人間になり、そして念仏の鉄は壮絶な最期を遂げることになる。こうして、またもや一人ぼっちになりながらも、主水は殺しを続けて行くことになるのである。
 密偵の正八(火野正平)や、女すりのおてい(中尾ミエ)も、良い味をだしているが、屋根の男の存在無くして、この作品は語れない。
作品のツボ→寅の会の元締め虎を演じる藤村富美男は、元阪神タイガースの強打者。裏切り者は太い木の棒でぶっとばす。
必殺シリーズ11 新・必殺からくり人 東海道五十三次殺し旅
昭和52年11月18日〜昭和53年2月10日 テレビ朝日
 浮世絵の絵師として有名な安藤広重。彼は絵を描きながら全国を旅するうちに、悪事の数々を目にすることになる。その許せぬ悪を倒してもらうために、東海道五十三次の絵に悪事のヒントを描いて、からくり人たち一行に仕事を依頼した。
 安藤広重を演じるのは仕掛人藤枝梅安でお馴染みの緒形拳。その依頼を受けて東海道を旅するのは、泣き節お艶(山田五十鈴)を座長とする天保太夫一座の面々。お艶の殺し技は山田五十鈴の定番技となる三味線のバチ。お艶の娘として育てられた小駒太夫(ジュデイオング)は、回転する駒を相手の額に投げて殺す。火吹き芸人のブラ平(芦屋雁之助)は、蝋燭を片手に口から火を吹いて敵を焼き殺すという荒業。噺し家の塩八(古今亭志ん朝)は、その口技で相手を催眠術にかけて自殺させる。(例えば、あなたは鳥ですと暗示をかけて屋根から飛び降りさせるなど)。
 この一行に、実在の人物である高野長英(近藤正臣)が蘭兵衛と名前を変えて旅に加わっている。役人に追われている長英は、隠れ蓑として一座に紛れこんでいるが、彼も仕込み杖で殺しを行う。
 からくり人の最大のポイントは、広重の浮世絵。絵を火であぶると、その土地で起きている悪事のポイントが、1ヶ所だけ赤くなるのである。戸塚では道標、三島では三島明神の灯篭、原宿では鶴、荒井では渡し舟に乗る人々、そして最終話の京都では、橋に一人佇む男が赤く染まる。言われてみれば、確かに怪しく見えるのだが、それを思い付いたスタッフのアイディアに脱帽である。
作品のツボ→最終回、京都で欄兵衛は身を隠すために、ぶら平の炎で顔を焼いてもらう。高野長英は実際の歴史でも顔を焼いて逃亡したのだが、このエピソードのために焼き殺すという殺し技が設定されていた。
必殺シリーズ12 江戸プロフェッショナル 必殺商売人
昭和53年2月17日〜昭和53年8月18日 テレビ朝日
 中村主水は子どもが出来ないことから姑のせんから種無しカボチャとそしられ続けてきたが、シリーズ中一度だけ奥さんのりつが身ごもったのが、この商売人である。父親になる主水は、人の親と殺し屋の間で揺れ動き続けることになるのである。また、もう一つの特徴として、最も強い主水を描いたのが、この作品。後半の必殺シリーズでは後ろから油断した相手を刺すパターンが増えた主水だが、商売人の主水の強いこと、強いこと。刀を引っさげて襲ってきたやくざ4人を、通りすぎざまに刀を一振りしただけで、全員一度に倒してしまうほどの強さであった。
 主水の仲間は、新・仕置人の時からくっ付いている正八(火野正平)に、新たに新次(梅宮辰夫)とおせい(草笛光子)の二人が加わる。この二人は、元夫婦だったが、新次が罪も無い人を間違って殺してしまったことから別れることになってしまった。ちなみに、このおせいは仕事屋稼業のおせいと同一人物である。髪結いである新次の殺し技は、櫛で相手の首を刺す。櫛の歯を首に刺した後、ポッキリ折って埋め込んでしまうのが痛そうだった。おせいの殺し技は、扇子や簪など毎回変化する。時にはつららで相手を刺し殺したこともあった。
 そして、最終回で、結局りつは死産してしまい、主水は父親になることは無かった。そして、新次も組織と役人の取引きの犠牲になって死亡する。この時の役人の石橋蓮次は、主水に向かって「今、そこで殺し屋を殺してきたぞ」と得意げに自慢して、たたき切られてしまった。
作品のツボ→第22話「殺したやつをまた殺す」に出てきた京極(清水紘治)は、死んだ人間を針で蘇生させる能力を持つ。新次が殺した相手を甦らせて、主水を窮地に陥らせた強敵である。
必殺シリーズ13 必殺からくり人 富嶽百景殺し旅
昭和53年8月25日〜昭和53年11月24日 テレビ朝日
 東海道五十三次での見事な殺しを見こまれたお艶(山田五十鈴)たちに、新たに殺し旅を依頼したのは江戸浮世絵の版元の西村永寿堂であった。永寿堂は葛飾北斎に殺す相手のヒントが描き込まれた浮世絵を描かせて、旅先に送り付けて行く。火であぶると絵のどこかが赤く変わっていくのは、五十三次と同じ仕掛け。駿州江尻の空に舞う紙が、甲州犬目峠を越えようとする旅人が、そして神奈川沖浪裏の荒れ立つ波が真っ赤に染まって行く。
 お艶の殺し技が三味線のバチ三味線の首に仕込まれた刃という設定は変わらないが、芦屋雁之助は、名前がブラ平から宇蔵に変わり、殺し技は魚を入れるビクを使ったものになっている。相手の頭にビクをかぶせて紐をひくと、ビクがつぶれて頭蓋骨が砕けるという荒業。最初の頃には、頭蓋骨がバラバラになるアニメーションまで挿入されていた。さらに、西村永寿堂の配下で絵の運び役である唐十郎(沖雅也)が仲間に加わっている。唐十郎は針が仕込まれた釣竿を使って、遠くから竿を伸ばして相手の首を突き刺して仕留める。仕置人棺桶の錠仕置屋稼業市松とは違う、ニヒルなキャラクターとなっている。また、殺しはやらないが、踊り子のうさぎや、主に偵察行動を行う鈴平(江戸屋子猫)も仲間にいる。鈴平の動物鳴き声の模写は、鳥を呼び寄せたり、馬を錯乱させたりと、なかなか役に立っている。
 殺しの元になる絵が北斎の描く富嶽百景なので、自然と殺しの舞台は、今で言う所の東京・神奈川・静岡・山梨あたりに限定されてくる。ただし、旅一座は第1話で風紀を乱すいかがわしい芸を見せたことで江戸所払いの刑を言い渡されているので、殺しの舞台が江戸になった時は、常に隠密行動になり物語に緊張感を生み出している。
作品のツボ→葛飾北斎が気まぐれな性格なので、最終話の凱風快晴では、忙しい仕事にイヤ気が差して、飛び出してしまう。そこで役者絵に開眼して写楽と名乗ることになるのだが、北斎=写楽説を見事に生かした設定になっている。
必殺シリーズ14 翔べ!必殺うらごろし
昭和53年12月8日〜昭和54年5月11日 テレビ朝日
 ほとんど再放送されないことから、必殺シリーズの中でも幻の作品となっている。主水シリーズでないのと、放送当時低視聴率に苦しんだのが、その原因と思われる。設定も異色の作品で、いろいろと巻き起こる怪現象を調べる内に、その裏に潜む悪事に荷担する悪人どもを始末することになる。
 メンバーは旗竿で敵を串刺しにする中村敦夫の先生、素手でぶん殴る和田アキ子の若、相手を油断させて懐剣で刺す市原悦子のおばさんの3人に、情報収集役の火野正平演じる正十と、鮎川いづみおねむを加えた5人。内容だけは噂に聞いていて、異色作ということで駄作かと思っていたが、改めて見ると怪現象をうまく話に組み込んでいて、他の必殺作品と比べて何の遜色も無い。
 京極夏彦姑獲鳥の夏などで活躍する探偵榎木津のモデルは、この作品の中村敦夫と言っていたが、あんた信じるか。
作品のツボ→「仏の庄屋さんとはあんたのことかい、おかしいね仏というのは死んだ人のことを言うんだろ」と言いながら刺してくる市原悦子のおばさんは本当に怖い。
必殺シリーズ15 必殺仕事人
昭和54年5月18日〜昭和56年1月30日 テレビ朝日
 必殺といえば仕事人という名前を思い浮かべるというのが、ほとんどの人の反応であろう。必殺シリーズの中で84話も続き、1年半以上も放送された最長の作品ということで仕事人の名前を世間に定着させてしまった。人気の高かった必殺シリーズだが、次第に視聴率が低迷してきて放送終了の話まで上がってきた。それを一気に跳ね除けて、さらに長いシリーズに踏みこませることになった記念碑的な作品。
 ご存知、藤田まこと演じる中村主水の新しい仲間になったのは、流れ浪人の畷左門(伊吹吾郎)。彼は胴太貫で相手を叩き切るという豪快な殺陣を披露する。同じ刀による殺しでも力の左門と技の主水の違いが見て取れる。しかし、驚くべきことに左門の殺し技は29話から一変する。刀を捨て屋台のおでん屋をはじめたことで、素手で相手の背骨を折り曲げるという荒業となる。これはこれでおもしろいのだが、刀から背骨折りの変化は激しすぎである。
 そして、もう一人の仲間となるのが飾り職の秀(三田村邦彦)である。二枚目の若き殺し屋で女性のファン層を必殺シリーズに引きこむきっかけとなった。簪で相手の急所を突く殺しは実に華麗で主水と左門の泥臭い殺しと良い対比になっていた。最終回で娘を失った左門は旅に出てしまうが、秀は江戸に残りこの先の仕事人シリーズでも主水と組んで殺しを続けることになるのである。
作品のツボ→長い作品だけあって主水たちに殺しを依頼する元締めも次々と代わって行く。初代は中村雁治郎の鹿蔵、2代目が山田五十鈴のおとわ、そして3代目が木村功の六蔵である。そして六蔵のつなぎ役として登場した加代(鮎川いずみ)もまた、ここから仕事人シリーズの中核をになっていくのである。
プリンプリン物語
昭和54年4月2日〜昭和57年3月19日 NHK
 ひょっこりひょうたん島や、唐沢なをきお勧めのネコジャラ市の11人、そして新八犬伝紅孔雀と数々の名作を残してきたNHKの連続人形劇。その中でも20代後半から30代の世代に、一際、印象深く記憶に残っているのが、このプリンプリン物語。
 赤ん坊の時に川に流されたプリンセスプリンプリンは、自分の祖国を探し求めるために、友達のボンボンおさげカセイジン、そしてペットの超能力を使う猿のモンキーと冒険の旅に出ることになる。プリンプリンの声をあてていたのは、主題歌も歌っていた石川ひとみであった。
 プリンプリンたちは、祖国と思われる国を目指すのだが、訪れる国は変な国ばかり。誰も働かない怠け者の国であるオサラムームー。知能指数1300のルチ将軍(この人はるろうに剣心に出てきた才槌のモデルになった)が支配する軍事大国のアクタ共和国。常にマンガを読んで笑いつづけなければならないマンガン王国。四次元に落ち込んで魔女の恐怖におびえるドーンブリカ。しかし、なんといってもすごいのは48次元の世界ピテカンドロップオシモサク。オサラムームーに行く前にはひょうたん島にも立ち寄っている。その時にひょうたん島に残っていたのはドン・ガバチョのみで、他の島民は出ていってしまったらしい。
 そして、登場する人形のキャラクターが、これまたくせものばかり。武器商人で作品の全編を通して悪役となったランカーは、プリンプリンを自分の花嫁にするために追いまわすロリコン野郎。名探偵のシャーレッケ・マイホームと、その妻で動物学者のワットさん円盤ジェットを愛車にしている世界お金持ちクラブのネチアーナ公爵夫人などなど。さらにプーチンや、ドロバンバなど年寄りキャラの魅力も捨てがたい。
 年末になると登場人物の男と女が、白組と紅組に分かれて歌合戦を繰り広げていたのも印象深い。ちなみに白組の司会は花のアナウンサー(ブルルルルルbyツボイのりお)。そして、紅組の司会は、その妹のイモのアナウンサー。
作品のツボ→ランカーの手下のゼロゼロヘンナキブンは、観覧車を見ると第3の男のテーマを口ずさんでしまう、変な男。
星の子チョビン
昭和49年4月5日〜昭和49年9月27日 TBS
 ぼくらの森にやってきた チョビンは星の王子様♪のオープニングをどれだけの人が覚えているだろうか。意外なことにアニメタル・レディに収録されていたりするのだが…。王子様といっても別に美形ではなく、まん丸な体でピョンピョンはねるだけしか能の無い王子様である。フェアリースターのわがまま王子チョビンが地球にやってきたのは、悪のブルンガにさらわれたママ上を取り戻すため。しかし、必殺技など何一つ持たないチョビンは敵に向かって体当たりするのが唯一の攻撃でしかない。よくも、こんなやつにブルンガが倒せたものである。ほとんどの敵は自滅するパターンであった。
 しかも、チョビンは地球語が全く話せない。腕にはめている翻訳装置の星のしずくが無くなると、○×△∞と何を話しているのか、視聴者すら分からなくなってしまう。そんなチョビンの仲間達たちはトンカラ森の動物連中。ということで、人間も全く出てこない変わったアニメである。原作は仮面ライダーでお馴染みの石ノ森章太郎。石ノ森先生は、この星の子チョビンやさるとびエッちゃんなどのほのぼの系の作品でも良い味を出している。こういった感じのほのぼのアニメだが、ブルンガのアジトの雰囲気とチョビンの行動を報告するレーダーこうもりの存在は、なかなか不気味だったことを付け加えておこう。
作品のツボ→エンディングの星のしずくの子守唄は、なかなかの名曲。改めてもう一度聞きなおしてみたい。
『ま行』

まんが世界昔話
昭和51年10月7日〜昭和54年3月28日 TBS
 ウバウバウキャキャ チラチラオポポ ウバウバウキャキャポイ ドンガラチッタカポイ♪って、別に頭がおかしくなったわけではなく、この出だしで始まるオープニングを覚えている人はどれぐらいいるでしょうか。日本昔話が市原悦子と常田富士男の二人語りだったのに対し、こちらは、ねむの木学園の宮城まり子さんの一人で、赤ずきんやマッチ売りの少女などの世界の昔話を子供たちに語りかけていました。
 さて、何故あえて、この番組を紹介しようかというと、実は子供の時のトラウマを最も多く生み出したであろう番組が、このまんが世界昔話だからなのです。上にもあげたような、誰もが知っているような昔話も、よく取り上げてはいたのですが、時としてこの番組は、子供が見るには、あまりにも恐すぎる話をアニメにして流す時があったのです。有名な所では結婚した相手が連続殺人鬼だった「青ひげ」とか、幽霊となって海を航海する「さまよえるオランダ人」とかがありましたが、チープな絵が、よけいに怖さを誘います。
 中でも「エミリーの赤い手袋」なんか、怖すぎるにもほどがある。丘の上には家から一歩も出ないのに村のことを何でも知っているおじいさんが住んでいました。ある日、大事にしていた手袋をなくしてしまったエミリーは、おじいさんに手袋の場所を聞きに行きました。すると、おじいさんは家の中から手袋を出してきてエミリーに渡すと「このことを誰かに話したら、夜中の12時にお前をさらいにいくぞ」と告げました。家に帰ったエミリーは、うっかりお母さんに、この事を話してしまいました。そして、12時5分前になると階段の下から、「エミリー、お前を迎えに来たぞ、ほら1段目を昇った、ほら2段目を昇った、ほうら5段目だ、ほうらエミリー扉の前だ」と声が聞こえ扉が開きました。12時の時計が鳴って、エミリーが恐る恐る目を開けると、部屋の中には誰もいません。すると耳元で「エミリー、ほうら、つかまえた」。その後、エミリーの姿を見た人は誰もいませんでした。
 まんが世界昔話はビデオにもなっていますが、この手のトラウマ話は、全部カットされています。安心したような、ガッカリしたような…。
作品のツボ→夢を見たの〜♪というエンディングは、ほのぼのとしているが、怖い話の後は、この夢が悪夢にしか思えずエンディングでトラウマ倍増。
『や行』

『ら行』
レインボーマン
昭和47年10月6日〜昭和48年9月28日 NET(テレビ朝日)
 インドの山奥で修行して、ダイバダッタの魂を宿したヤマトタケシは愛の戦士レインボーマンに変身する。変身する時の呪文が「アノクタラサンミャクサンボダイ」とサンスクリット語を唱えるなど、東洋的な色合いの強い作品。
 レインボーマンの変身形態はダッシュ1の月の化身から始まり、火の化身水の化身木の化身と1週間の曜日と対応している。ちなみにダッシュ6の土の化身はイナズマンに変身する前のサナギマンと並ぶ子どもに不人気なヒーロー。
 敵はミスターKが率いる死ね死ね団。ミスターKの個人的な恨みから、狙うは日本人のみ。その手段たるや、新興宗教を装ってお金をばら撒き、インフレを巻き起こすなど、子どもが付いてこれない本格的すぎる内容。
 ちなみにレンボーマンの弱点はヨガの眠りで、戦った後に5時間の深い眠りについてしまうこと。この時のタケシはまっ白になってしまい、ちょっと気持ち悪い。後にアニメ化もされているが、あれは無かったことにして下さい…。
作品のツボ→番組のエンディングのヤマトタケシの歌もすごい内容だが、死ね死ね団の歌のインパクトはちょっとすごすぎる。
『わ行』

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